2025年度の中国税収を直近3年のデータとあわせてみてみよう。
財政収入総額では、非税収入の落ち込みにより約21.6兆元(475兆日本円)と前年比1.7%減となったが、税収でみると前年比0.8%の増加となった。
表1:一般公共予算収入状況 [1] (単位:億人民元)
図1税目別でみると総収入の32%を占める国内増値税の2,273億元増((+)3.4%)と、総額に占める割合(7%)に大きな変化はないものの、増加率((+)11.5%)が顕著な個人所得税が目立つところだ。また、輸出増値税(還付)の増加は輸出取引が比較的堅調に推移していることと符合している。
表2:貿易指標(税関総署)
図2全世界ベースの輸出入総額は前年比(+)3.8%の45.5兆元に達している。対米貿易は大幅な減少((-)18.2%)であるものの、それ以外の相手国との貿易は軒並み増加しており、特に貿易額で1、2位を占めるASEAN諸国、EU諸国との取引量の増加が顕著であった。
非税収入には、中央及び地方における行政事業収入、政府基金収入、国有資源有償使用収入、国有事業投資収入、過料罰金などがあり、収入の大幅な落ち込みは国有企業系の経営の厳しさを反映しているのだろうか。
さて次に、中国税収の直接税と間接税の割合(直間比率)はどのくらいか、試算してみよう。
ここでは企業所得税及び個人所得税に加えて非税収入の50%を国有企業からの実質的な税収と見立てて直接税とし、国内増値税、国内消費税、輸入増値税/消費税、輸出増値税(還付)を間接税として計算した2025年度の直間比率は48:52となった。OECD主要国は軒並み直接税の比率が高くあり、中国政府としては引き続き直接税の割合を高める政策を打ち出してくるだろう。
第15次5ヵ年計画でも、「直接税体系の整備、 経営・資本・財産所得からの課税、合理的な租税負担率の保持」が謳われており、企業所得税であれば、損金否認、送金源泉徴収の強化、個人所得税であれば資産への課税強化、が想定されるところだ。
次に財政支出をみてみよう。
表3:一般公共予算支出状況 (単位:億人民元)
図3表4:プライマリーバランス (単位:億人民元)
図4各項目の全体に占める割合に大きな変化はないが、教育、科学技術、社会保障/就業、衛生健康、省エネ環境の主項目が増加する一方、都市関連、農林水産関連の予算がマイナスとなっているところが目を惹く。財政赤字は増加傾向にあり、2025年度でマイナス7兆元の大台を超えている。
防衛費は17,846億元、財政支出の6%を占め、前年比5.5%の増加だ。国債残高[2]と含めてGDP比をみてみよう。
表5:国債残高と防衛予算の対GDP比 (単位:億人民元)
図5注)GDP成長率は実質ベース/2025年度国債残高=2024年末公表残+公表純増6.6兆元
国防比の対GDP比率は1.27%と突出しているようには見えないものの、絶対額が1.7兆元(日本円換算39兆円)となり、日本の防衛関係予算約9兆円との乖離は大きい。
中国では政府部門負債のうち地方債6:国債4の割合なので、地方債も含めた政府部門の債務残高が知りたいところであり、国家金融&発展実験室(National Institution for Finance & Development)[3]の公表するNIFD季報-宏观杠杆率(Macro-Leverage)が参考になるのだが、残念ながら現時点(2月18日)で2025年分が未公表である。
政府部門の2024年末における対GDPマクロレバレッジは60.8%、中央政府の2024年25.6%から2025年度は29%と3%増加しており、地方債の発行残高が増えこそすれ減少することは想定できないから、合算ベースの債務残高は65%程度には達するものとみられる。
表6:参考 国家金融与発展実験室【マクロレバレッジレシオデータベース】2024年末
図6[1] 中国財政部 https://gks.mof.gov.cn/tongjishuju/202601/t20260130_3982923.htm
[2] 中国財政部 https://yss.mof.gov.cn/2025zyczys/202503/t20250324_3960467.htm
[3] 国家金融与発展実験室 http://www.nifd.cn/

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