国際税務 中国個人所得税確定申告はスマホで簡単に 記事のタイトルとURLをコピーする 2023年2月2日付で国家税務総局から「2022年度個人所得税総合所得の確定申告事項の手続きに関する公告」(23号公告)が公布されました。 2022年度確定申告の内容 居住者(以下、「納税者」)は2022年1月1日から12月31日までに取得した給与、労務報酬、原稿料、ロイヤルティー料などの4項目(以下「総合所得」)の所得額から6万元の基礎控除、特別控除を含むその他控除を差し引いた総合所得に税率及び速算控除を適用し本年度の最終納税額を確定させます。 計算方法 年度確定税額 =[[総合所得(−)基礎控除(−)社会保険料等特別控除(−)子女教育費等特別控除(-)その他法定控除(−)寄付金]×適用税率(−)速算控除] 追加納付税額(マイナスは還付)=年度確定税額(−) 既納付額 年度確定申告が必要な納税者と申告免除者 以下の条件に合致する納税者は年度確定申告の手続を行うこととされます。 (一)既納付額が最終確定税額よりも多いため税額の還付申請を行う場合 (二)総合収入額が12万元を超え且つ追加納付額が400元を超える場合 既納付額が最終納税額に一致している(或いは追加納付額が400元未満の)場合は確定申告が不要です。毎月の納税額を正確に計算し予納しており、子女教育費などの追加控除がない外国人は確定申告が不要です。 年度確定申告手続期間 2023年3月1日から6月30日までとなります。 申告方法の選択 以下のいずれか方法を選択できます。 (一)納税者がスマホなどで自ら年度確定申告の手続を行う方法 (二)給与或いは役務報酬の支給者(=源泉徴収義務者)による方法/納税者が源泉徴収義務者に年度確定申告の代行を要請した上で源泉徴収義務者による手続の代行実施、または源泉徴収義務者が納税者を補助、指導し納税者名義で税務局ウェブサイトやスマホアプリ上で手続を進める方法 (三)税務コンサルティング会社、または企業及び個人(以下「受託者」)へ委託する方法/受託者は納税者の署名のある授権書が必要 申告窓口 税務機関は納税者の利便性向上のためオンライン申告を推奨しています。PCやスマホからでも確定申告ができ、しかも分かりやすいのが特徴です。 申告情報及び資料の保管 納税者は年度確定申告の記入情報に対して慎重に確認し、真実性、正確性、網羅性を保証する必要があります。 年度確定申告表及び納税者の総合所得、控除、納税額、あるいは優遇措置等の関連資料は年度確定申告終了日から5年間保管する必要があります。 年度確定申告の提出地 年度確定申告を納税者が自ら手続を行うか、あるいは受託者が代理で行う場合には雇用者の所在する税務管轄地で申告します。 年度確定申告の税還付、追納 納税者が年度確定申告において税還付を申請する場合、中国国内に設立され、条件に符合した銀行口座を提供する必要があります。 年度確定申告によりに必要な追納額は、オンラインバンキング、税務局窓口での納税、アリペイ等スマホ決済等で納付でき、また還付税額も指定口座に返金されます。 スマホによる確定申告手続フロー 外国人でもパスポート番号、納税者番号、中国内銀行口座番号などの基本情報を登録することで、スマホから各種税務手続が実行できます。例えば、中国から国外への送金では銀行が納税証明書の提示を求めてきます。銀行は中国で合法的に取得し納税(或いは免税)された所得(給与所得、譲渡所得など)につき、その所得範囲内での送金を受け付けます。 スマホによる確定のプロセスを画面をみながら追ってみましょう。 入り口はこんな感じ[1]、総合所得年度確定申告を選びます。 これまでの月次申告納税額が自動的に表出されます[2]。 教育、医療などの税額控除費用を記入して確定申告書を提出すると自動的に追納額や還付額が計算されます。 銀行口座と税務申告が紐付けられることにより追加納税も還付もオンラインで一瞬にして完了します。 私がこのシステムに感心するのは、納税者と税務局双方の事務作業を省力化しているところです。申告オンライン化は当然の流れだとして、納税者が申告フォームに還付口座を入力して終わり、だったら、その後、税務局側で還付銀行口座を入力する作業が残ってしまいます。税務局側の手間も省くことで、スムーズな税還付が実現されるのではないか。実際の還付実務がどれくらいスムーズにいくか、今後の注目ポイントです。 [1] 執筆時点では2022年度確定申告が未開始、申告画面が開けないため、前年度の画面で説明します。 [2] 情報セキュリティ上、給与額を非表示としています。 国際税務