電子会社印 使ってますか?

業務のDX化(少なくとも行政のオンライン化)は中国の方が日本の先を行っている。今回は今年から中国各地で使用されている電子会社印について紹介する。簡単に言えば、中国で契約締結などで使う赤丸の印鑑を各地政府のオンラインプラットフォーム上に登録し、PDFに電子印を押印する(し合う)ことで契約や登記書類を有効ならしめる、というものである。
便利ポイント1)アプリを立ち上げるのではなくウェブサイトにアクセスする方式であること
どのPCでもスマホからでもウェブサイトにアクセスすればよい。PC上のアプリで押印するという方式では、モバイル環境を形成するために当該PCを持ち歩かなければならず、不便この上ない。印鑑を押してくれ!、と部下から言われる局面は出先で急に訪れる。PC持ってないから会社に戻ってから押すよ、というのでは紙にハンコと同じだ。入り口はこんな画面。スマホでQRコードをスキャンして入る。
次に【我要签章】を選択、PDFのところに押印したいPDF文書をドラッグ&ドロップして文書をアップロード。

 

アップロードされたPDFを開き、左に現れている会社印を押したい箇所にドロップする。
例えば契約書の捺印署名箇所にドロップする。割り印もできる。

 

プロセスの完成のため、スマホに戻って承認手続きを実行する。  

 

 

押印された文書。左上には当該文書が公正なものであることを示すQRコードが貼られている。こちらをダウンロードして契約相手先にメール添付すればよい。

 

便利ポイント2)承認鍵がUSBではなくスマホであること
承認キーがUSBだと不意の捺印要請に備えてUSBを常時持ち歩かなければいけないが、果たしてそうするか〜?出張など予測できる場合は持ち歩くかもしれないが常時持ち歩きはしないだろう、通常は会社机の引き出しの中、結局出社して押印、となる。デバイスを小さくすればDX化できるというものではないだろう。常時持ち歩くスマホ上に承認鍵があることでこの問題は解消される。会社電子印は、ウィーチャットやアリペイ上で動くミニプログラムで承認鍵を操作する。
若干の問題点としては、初期設定のハードルが高いかもしれないことだ。中国身分証保持者であれば初期設定は完全リモートで完結するが、中国身分証を持たずパスポートで身分証明としている外国籍人員にとっては、実名登録のハードルがそこかしこに存在しており、会社電子印の初期登録も筆者の場合、工商局に出頭し登録作業をする必要があった。ただしそこさえクリアできればその後は日本に居ようがどこに居ようが中国法人の捺印を完全リモートで完結できるので便宜性は高まり、印鑑管理の精度も高まるだろう。貴社でも運用を検討してみてはどうだろうか。
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